小児用おかゆ

栄養、水分、電解質の補給をサポートする小児用おかゆ

消化の良い食べ物が必要な時に食べやすく、体から失われがちな塩分の補給をサポートしてくれるおかゆの開発をおこないました。 塩分は電解質のバランスを考慮し、お米のおいしさを引き出せるように調整しました。ふだんおかゆを食べないお子さんでも食べやすく、食欲のあまりない時でもすぐに食べられるよう、冷めても水っぽくならないように工夫しました(図)。

図:「市販のおかゆ」と「小児用おかゆ」の離水比較 市販のおかゆ 冷めると水とお米が分離し、水っぽくなる。 小児用おかゆ 冷めても水とお米が分離せず、食べたい時においしく食べられる
図: 「市販のおかゆ」と「小児用おかゆ」の離水比較

研究のきっかけ

2012年、新潟大学医学部と新潟県内企業の産学連携の取組みの中で、高齢者用の飲み込みやすいおかゆを紹介したところ、「このおかゆをベースに子供向けの胃腸炎回復期に最適なおかゆができないか」と新潟大学医歯学総合病院の内山聖病院長(当時)からの提案を受けました。
「胃腸炎回復期には早期に普通食に戻した方が良いが、すぐに食べられないお子さんは多い。消化が良く食べやすいおかゆは、小児医療の現場で必要性が高い」と先生からお聞きした内容は、おかゆが必要な場面を再認識し、可能性に気づかせてもらうものでした。そこからお子さんに食べやすいおかゆの研究開発がスタートしました。

研究内容

胃腸炎の回復期に、実際に食べてもらえ、必要とされるおかゆとは?小児科の先生、保護者の方に意見を聞き、調査をおこないました。
下痢などの症状で失われた電解質を補給できるように、塩分濃度を調整したおかゆを先生と試食し、食べやすい濃度を検討しました(表)。WHOの経口補水療法の考え方に基づいて濃度調整をおこなう中で、結果的にほぼ同様の組成の時、お米のおいしさが最も感じられました。このことから「体の求める味が存在する」ということを強く感じました。
さらに試食を通し、吐き気などがあるときでも食べやすく、飲み込みやすいおかゆの物性、風味を探り、小児用おかゆは回復期のお子さんの食事として食べていただけ、また保護者の方からも食べやすい品との評価をいただくことができました。

表. 内容成分の比較(100g中)

小児用おかゆ WHO-ORS※1 市販経口補水液例
エネルギー (g) 51 10
たんぱく質 (g) 0.8 0
脂質 (g) 0.2 0
炭水化物 (g) 11.6 (1.35) 2.5
(ブドウ糖(g)) ※2 1.35 1.8
ナトリウム (mg)
(食塩相当量(g))
177
(0.45)
172 115
カリウム (mg) 83 78 78
  • ※1 比較のため、指針での値を重量に換算
  • ※2 お米のでんぷんを考慮し、原料には無添加

研究者の声

毎日多くの患者さんと接する小児科の先生方の意見は、研究開発を進める上で非常に参考になりました。
「回復期は食事をどうしても残してしまう。残った量が多いとお母さん方に不安が生じるから、少量パックが良い」との意見をいただいた時、困っている患者さんを見つめ続ける姿勢を知り、応えることの重要性を再認識しました。
今後もお米や食品の持つ可能性についてさらに探り、お客様の声に応えていきたいと思います。