ゆめごはん(低たんぱく質米飯)

「ゆめごはん」とは

お米を酵素処理して、たんぱく質を分解、除去した無菌化包装パックごはんで、通常のごはんよりもたんぱく質を1/5~1/35まで低減してあります。

慢性腎臓病患者さんは摂取したたんぱく質が腎臓に負担をかけるため、1日30~40g以下に制限されています。
特に日本人は、普通のごはんを1日3食食べるだけでもたんぱく質を約15g摂取します。今まで患者さんは、でんぷんからつくられた造粒米や米の表面を極度に削った精白米などを利用していました。
しかし、おいしさに問題があり、低たんぱく質食事療法が継続できず人工透析導入を余儀なくされていました。

「ゆめごはん」は、ごはんからのたんぱく質摂取を減らすことができ、その分他の食品のたんぱく質をバランスよく摂取できます。しかも、リンやカリウムも低減していますから、副食を含めて食事内容を豊かにできます。患者さんのクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を大きく改善するとともに、人工透析への移行を遅延できる、まさに「ゆめのようなごはん」の意味から「ゆめごはん」と名づけられました。

研究のきっかけ

1992年に新潟県食品研究所(現在の新潟県農業総合研究所食品研究センター)とお米の発酵食品の研究開発に取り組みました。
お米由来の植物性乳酸菌が、お米のたんぱく質を分解することの可能性を感じていたときに、製薬会社から「低たんぱく質米飯」の開発要請がありました。
亀田の植物性乳酸菌発酵という技術シーズと低たんぱく質米飯のニーズがピッタリ一致したことが「ゆめごはん」の研究開発のきっかけになりました。

研究内容

効率的、安定的に低たんぱく質米飯を製造するためには、乳酸菌による発酵法では限界があるため、酵素処理による低たんぱく質化研究をおこないました。
数十種類の酵素を用いて反応時間、温度及びpH等の最適な条件の検討をおこないました。その結果、現在ではどんな品種、産地の米を使用しても一定時間で規定のたんぱく質含量の米を製造できます。 低たんぱく質米飯を開発する上で大きな課題は低たんぱく化した米は粒構造が極端に弱く、排出移送するだけで米が粉々に壊れてしまうことです。そこで、試行錯誤の末、新規の無菌化包装パック米飯の製造ラインを開発しました。
また、実際の患者さんに「ゆめごはん」の臨床モニター試験を実施しました。1食180gを1日2回または3回、3か月間摂取して頂き、血液学的・血液生化学的・尿生化学的検査をおこない、その効果を確認しました。

アクロレインシッフ染色:ピンク色の部分がたんぱく質です。 処理前(精白米)処理前は細胞壁にピンク色のたんぱく質の部分が多くみられます。 処理後(低たんぱく質米)全体的に透明でたんぱく質が少なくなったことがわかります。

研究者の声

ゆめごはんは進化しています。
通常のごはんに比べたんぱく質が1/3であった1994年から20年を経て、究極の1/35にまで低減されています。生産を始めた頃は、トラブル続きでしたが、今では方法や設備を改良し、創業当時の3倍以上の量を生産しています。進化はしましたが、変わらないことがあります。 それは安心、安全、おいしさです。「開発=ゆめの創造」は、現場の努力と熱いハートで、ごはんとなって結実しています。

※「ゆめごはん」の販売は、キッセイ薬品工業株式会社ヘルスケア事業部がおこなっています。
詳しくは、キッセイ薬品工業株式会社ヘルスケア事業部ホームページ外部サイトをご覧下さい。